校長散歩

2020.09.28

  • #武蔵の風景

200 濯川の水源−武蔵の文化財その3−

濯川の水源の画像
濯川の水源にある八角井戸

校長散歩58でご紹介したように、武蔵に流れる濯川(すすぎがわ)は元々は千川上水とつながっていましたが、千川上水の暗渠化に伴い、切り離されました。そこで、1983年から学園60周年記念事業として蘇生事業が行われ、上流の水源からポンプ式で水が流れるようになりました。
その最上流の水源(地下水)には八角井戸が埋められており、そこには初代教頭山本良吉先生(のち第3代校長)が濯川と命名した由来となった楚の屈原の詩が記されています。
「滄浪之水清兮 可以濯吾纓 滄浪之水濁兮 可以濯吾足」
(「楚辞」巻七「漁父」)
詩の大意は「滄浪(揚子江支流の漢水下流を指す)の水が澄んでいるなら冠の紐を洗い、もし濁っているのなら自分の足を洗う。すなわち世の清濁に応じて生きよ」ということだそうです。(「清濁を呑み今日も流れる濯川物語」(武蔵学園百年史HP)
濯川を見ると、改めて武蔵讃歌の結びにある、「武蔵大野(おおぬ)の果てはあれ、学びの水はとこしえならめ」というフレーズが胸に響きます。
川の水は清くなったり濁ったりしながらも永遠に流れ続ける。その川と一体となって、あるがままに学び続けよという、武蔵に託された自然観・人間観を感じます。

 

校長散歩も気が付けば200号となりました。ここまで続いているのは、読者の皆様からの温かい励ましのおかげです。今後も引き続き、武蔵の魅力とともに、私自身の教育に対する思いもお伝えできればと思っています。この節目に際し、読者の皆様に感謝申し上げます。