校長散歩

2022.04.22

  • #武蔵の風景

400 武蔵の文化財8-根津化学研究所-

根津化学研究所
武蔵のエントランスから濯川にかかる玉の橋を渡ったすぐ左手にあるのが「根津化学研究所」、通称「根津研(ねづけん)」です。
「根津研」の創設は1936年(昭和11年)。この年は、武蔵の創立者である初代根津嘉一郎理事長が喜寿を迎えるということで祝賀の議が起こっていましたが、根津は祝賀行事が個人的なものとなることを好まず、学校の利益となることを望みました。その結果、祝賀に寄せられた拠出金とほぼ同額を自ら拠出され、研究所を建設されました。理事長は、その管理を山本良吉校長に委任。校長は研究所長として玉蟲文一教授を任命しました。
玉蟲所長のもと、根津研は旧制武蔵高校附属の異色の研究機関として発展。建物と施設の大半は戦禍も逃れ、戦後の困難な時期においても研究は続けられました。戦後の学制改革によって新制武蔵高校・中学校・武蔵大学が設置されてからは、武蔵大学の学長が所長を兼務することになりました。その後1982年以降は学園長が兼務し現在に至っています。
設立当初から、化学に関する基礎的な研究を行うことを目的としましたが、当然、教育的な視点も併せ持ち、近年では、公開セミナーの開催や国際化学オリンピック関連事業への協力など、社会貢献活動も活発に展開してきました。
現在は、「根津研」の上に大学9号館も建設され、ひっそりとした佇まいを見せています。科学教育に力点を置いてきた武蔵の象徴とも言えるのが、根津化学研究所です。
根津化学研究所(武蔵学園百年史) 

※「校長散歩」もおかげさまで400号となりました。読者の皆様方の温かな励ましに感謝いたします。今後も、武蔵の日常にある魅力を発信していきたいと思います。