校長散歩

2021.12.22

  • #授業

357 湯浅誠さんに聴く会 -中3人権研修-

講演が終わった後、クラスの代表生徒たちと記念撮影
 12月15日、中3を対象に人権研修会が行われました。
今回の講師は湯浅誠さん(62期)。大講堂を会場に、湯浅さんを囲んで、質疑応答形式での対話が始まりました。
湯浅さんは社会活動家として活躍されています。現在は東京大学特任教授の職にあるとともに、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの理事長をされています。
1990年代よりホームレス支援に従事し、2008年には「年越し派遣村」の村長にもなりました。翌2009年からは内閣府参与も務めるなど、官民学がつながる貴重なポジションにこれまで就かれ、「格差と貧困」の問題に一貫して取り組んでこられています。
今回は、人権問題の一つとして生徒たちは「経済格差」の問題を学んできたことを踏まえ、各クラスの代表12名が壇上にあがり、フロアも含め、生徒からの質問に湯浅さんが答えるという形で進みました。
「何故格差の問題に取り組んだのか」「活動の原動力は何か」「格差と経済成長をどうとらえるか」「現金支給でなく現物支給の方がよいのではないか」など、様々な質問が出ましたが、湯浅さんは30年以上年齢が離れた後輩たちに、まるで兄貴が弟に語るように、ざっくばらん、かつ丁寧に対話をしてくれました。
最後に出た「生きやすい社会にするために、政策への影響力もない僕たちが今すべきことは何か」という質問に対して、湯浅さんはしばし考えられたあと、「歩くのがゆっくりな人と一緒に、少しゆっくり歩くこと」と答えられました。優しくしようとか人権だからとか肩肘はるのではなく、「周りの人に好意的な好奇心を向けること。その先に世の中がある」という答えに、民主主義の成熟を期待している「独創的で柔軟」な武蔵生らしさを私は感じました。
貴重なそしてあっという間の2時間でした!