校長散歩

2024.09.19

  • #生徒の活動

683 鹿の研究-学術誌に生徒の調査報告が掲載されました-

論文が掲載された学術誌を持って校長室での記念撮影
1990年に設立された全日本鹿協会という団体があります。鹿に関する総合的な研究・活動を広く展開しており、2024年2月に一般社団法人に移行したとのこと。その全日本鹿協会が発行する「日本鹿研究」第15号(2024年7月発行)に、中学2年生の片倉君の調査報告が掲載され、9月10日、校長室にその報告に来てくれました。
掲載された調査報告のタイトルは「ホンシュウジカ(Cervus nippon centralis) の頭胴長推定式」で、鹿の大腿骨の長さをもとに、頭胴長を推定する式を作成しようとしたものです。
聞けばきっかけは中1の山上学校の赤城青山寮の周辺で、鹿の大腿骨を採取したことによるそうです。生物部員でもある片倉君は、この鹿の骨に関心を持ち、色々と調べているうちに、この大腿骨から胴体の長さを調べられないかと考えたとのこと。考古学の分野では、ヒトの四肢骨から身長を求める方法が確立されていることから、野生動物でも算出できないかと考え、標本を数多く保有している国立科学博物館に連絡をしたところ、快く標本を使用させてくれたとのことです。そこで標本の計測を行い、推定式を導き出し(Y=2.9X+61.5)、その回帰直線の式を用いて、赤城で採取した大腿骨から頭胴長を計算したそうです。今回掲載された調査報告には、その経緯について、先行研究を踏まえながら論文として上手にまとめられていました。
今回の掲載について、片倉君は赤城で採取した大腿骨をきっかけに、多くの人との出会いが始まり、論文発表までつながった想像していなかった展開を素直に喜んでいました。また、この間、研究を支援していただいた国立科学博物館や全日本鹿協会の皆さんや、アドバイスをくれた武蔵の先生や生物部の先輩に深く感謝していました。突然の申し出に多々失礼もあったと推察しますが、快く研究を支援してくださった国立科学博物館の方からは「君の情熱は素晴らしい」と言われ、そのことも励みになったようです。
研究する喜びを知った片倉君は、今しばらくは、鹿の研究を進めたいとのこと。まだ中2生。今後とも自分の「知好楽」を深掘りしていきながら、成長していってほしいと思います。
おめでとうございました!