校長散歩

2024.07.16

  • #行事

666 出澤真理 先生特別講演会

講演会の様子
7月6日、視聴覚室を会場に、出澤真理 教授(東北大学大学院医学系研究科 細胞組織学分野)をお招きし、特別講演会を実施しました。演題は「世界は変わる!医療技術の最先端-まだ間に合う。日本の未来を創る若者へのメッセージ-」。会場には70名ほどの生徒が集まりました。
出澤先生は、「Muse(ミューズ)細胞研究」という再生医療の最先端の現場で研究を進められています。講演では、まず世界の医療の趨勢について話されました。医療の関心事は時代によって変化してきており、かつては結核治療や癌治療にあったのに対し、現在は「失われた機能を取り戻す」という再生医療にあること。その分野では、手・足などの運動器や眼・内耳などの感覚器を再生する医療技術の開発がものすごいスピードで進んでいること。さらに、こうした医療技術を開発する立場と、それを普及して人を幸せにする社会実装を実現する立場があること。また、いったん発明されたものは、その技術がなかった時代には戻れないことから、そこで生じる課題をどう解決すべきなのかという科学技術に対する本質的な問いかけがありました。
続いて、幹細胞による「再生医療」の仕組みや現況についての詳しいお話になりました。先生が取り組まれているMuse細胞では、点滴で投与できるとともに、癌化を防ぐことができるという利点についても語っていただきました。
結びに「成功と失敗」の話になりました。「自然科学においては成功も失敗もない。全てが自然現象」「成功の多くは失敗を装って近づいてくる」「あきらめかけたときに最大のチャンスが近づいている」との言葉は、生徒たちを励ましてくれたと思います。Muse細胞の発見も、ふとした失敗がきっかけだったそうです。
講演中も生徒に様々な問いを投げかけ、対話を大切にされていました。お話のあとの質疑応答も30分間続きました。どんな質問にも丁寧に答えつつ、生徒が考える新しい発想を積極的に評価しようとする出澤先生の姿勢を感じました。
今日の講演はまさに、日本の未来を創る生徒たちの心に火をつけたのではないかと思います。
お忙しい中、わざわざ本校までお越しいただいた出澤先生にこの場を借りて御礼申し上げます。
有難うございました!