校長散歩

2020.01.29

  • #武蔵の風景

125 不動明王石像 −武蔵の文化財その1−

不動明王
濯川沿いに建立する『不動明王石像』
1月24日 武蔵のキャンパスには、「文化財」ともいえる様々な石碑や石標などが、あちらこちらに存在しています。
理科・特別教室棟を出て大学図書館へと向かう『欅橋』を渡ったところに、小さな『不動明王石像』があります。どなたかが拝んでいるのでしょう。お賽銭とお神酒が供えられています。
建立年代の詳細は不明ですが、17世紀後半のもののようです。石像をよく見ると、後背の火炎と左右の眼に差異があることから、「天地眼」をもった『不動明王像』と考えられます。不動明王は大日如来の化身ともいわれ、煩悩を抱える衆生をも力ずくで救うため、憤怒の形相をしているとのこと。祖先の慰霊、土地の守護、豊穣への願い、慈雨への期待…。人々は色々な思いを込めて、この『不動明王石像』を拝んだに違いありません。
時が経ち、かつては農業用水の脇であったこの場所は、武蔵の学びの場となりました。数百年前にこの地に生きた人々の祈りに思いをいたすとき、不思議な気持ちになります。
私も在学中は、この『不動明王像』をはじめ、武蔵の「文化財」ともいうべき存在に全く気付きませんでしたが、武蔵に戻ってきて、改めて「武蔵のキャンパスはすごいなあ」と感動しました。今後も折に触れ、そのいくつかを紹介していきたいと思います。
※この記事の執筆に当たっては、武蔵学園記念室研究員の三澤正男さん(武蔵45期卒)の豊かな知見を拝借いたしました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。